母親らの切実な訴えに耳を傾ける民主党議員ら

 「保育園!!!私たち声をあげます!保育園落ちたの私と私の友だちだ。保育士辞めたの私だ。国会大作戦」院内集会が23日昼、国会内で開かれ、保育園に落ちたママやパパ、保育士を辞めた人が国会議員らに対し2時間以上にわたって保育をめぐる厳しい実態を訴えた。民主党からは蓮舫代表代行や山井和則、山尾志桜里、郡和子、阿部知子、大西健介各衆院議員が参加した。

 保育問題は「保育園を増やしてほしい」ということだけではなく、保育の質と基準、育休問題、保育事故のことなどが多角的に絡んでいることから、保育の量と質の両方の拡充が必要だと考え、新しく活動を始めた母親らと、これまで活動してきた母親ら、さらに保育士の不足で施設が増えないことは親にとっても保育の質にとっても大きな問題であるとの認識のもと保育士たちも、ともに行動するに至ったという。

 民主党は、「保育園落ちた日本死ね」と書かれた匿名のブログ記事への共感から待機児童対策を求める声が広がるなか、この背景には保育士不足があることから維新の党とともに24日、保育士の待遇改善に向け保育士の給与を月額5万円引き上げる法案を提出する。

訴えをパネルで掲げる母親ら

訴えをパネルで掲げる母親ら

 参加者からは「規制を緩和するのではなく、私たちの宝物である子どもたちをどうしたら健やかに育んでいくことができるかという視点で保育園を増やしてほしい」「昨年4月、大田区にできた株式会社の保育園に入社したが残業代が支払われず1カ月半で辞めてしまった。処遇改善というが、まずは労働基準法を守るところからではないか」「2009年に生まれた娘がいるが、育休明けのときに認可保育所に入れず育児休業を延長した。やっと認可外の保育に通えるようになったが1歳7カ月のときに保育中に娘は事故で亡くなった。保育園に入れないということは生活がかかっている。待機児童はなくしてほしいが、保育中の安全、保育の質もしっかり守ってほしい。娘の事故では保育士本人の問題もあるが施設の問題や保育士の厳しい労働実態、無資格者がどのように保育に関わるかという問題など複合的なことが背景にあると思う。十分でない環境で保育をすることは、保育士さんたちに負担がかかる。待機児童を減らすためにこれ以上規制緩和、無資格の人が簡単に保育に関われる対策は絶対にしないでほしい」「私たちはどこでもいいから保育園に入れればいいとは考えていない。女性が活躍するために子どもを預ける場所ではなく、子どもにとっては毎日の生活の場所であり、安全で安心して信頼できる人間関係のなかで豊かな乳幼児期を過ごす権利がある」「3歳と2歳の子ども2人とも認可園に入れてうれしかったが、周りの人には言えなかった。入れずに必死で探している人に申し訳なく周りには言えないというのはおかしいと思い、今日は声を上げた」「保育の質を上げてほしい。国が主導して保育園の拡充をしてほしい」「保育園を利用する年齢ではないが、ブログ読み、かつて利用した人、利用できなかった人たちも、自分たちの思いだととらえていることを伝えたくやってきた」などと次々に悲痛な叫びを上げた。

 同日の集会では特に、第2子以降の出産で保護者が育休を取得すると、すでに保育園に通っている子どもも退園を迫られるという制度による『育休退園』問題を指摘する声が多く上がり、この問題で訴訟にまでなった所沢市在住の母親は、制度の問題点として(1)少子化を加速させる(2)子どもが保育を受ける権利が軽視されている(3)男性が育休制度を利用しなくなる――の3点を挙げ、「オールジャパンの問題。国として方針を出してほしい」と訴えた。

山尾志桜里議員

山尾志桜里議員

 山尾議員は「政治家は皆『待機児童』という言葉を知っているのに、その家族一人ひとりにとって、子どもの命や成長に何をもたらしているのかということを政治は全然知らなかった。私もそれを自分の言葉で伝えて政治を動かすことができていなかったことに申し訳ない思いで胸いっぱいになりながら皆さんの声を聴いていた。いま皆さんがこうして政治を動かしてくださっている。そういうなかで結果を出していかなければいけない。少しでも動いてよかったと思ってもらえるような未来をつくっていかなければいけないと思っている」「保育園はあっても保育士さんがいない。私たちは園に預けるのではなく人に預ける。保育士さんも給料が安いからやりたくないと言っているのではなく、給料が安すぎて続けられない、なんで子どもの未来を育てる専門職なのに社会はそう思ってくれないということが苦しいのだと思う。そういう思いで私たちは給料を上げることにこだわりたいと思っている。与党も野党もないという思いで皆さんと一緒にやっていきたいので、大変だけれど引き続き力を貸してほしい」と呼びかけた。

蓮舫代表代行

蓮舫代表代行

 蓮舫代表代行は「本当に心の叫びだと思った。自治体の待機児童情報を信じて引っ越したら待機児童になったなんておかしいじゃないですか。兄弟頑張って産んで、そしたら上の子が退園させるなんておかしいじゃないですか。何が女性活躍か、何が少子化対策か。私は予算を削るキャラクターで知られているが、子どもの予算をつくりたかった。この国は子どもに予算をかけずに、なんで公共事業や防衛費にはあっという間に予算がつくのか。安倍総理は『50万人分の受け皿を整備する』というが、今やらなければいけないのは、働きたいけれど給料が安い保育士さんの待遇改善に尽きる。保育士さんは、医師と弁護士と同じく国家資格を持つ、命を預かる人たちだ。育児はあっという間で忙しくて政治に声を上げないという流れのなかでようやく声を上げてくださり、いまこの声が波になった。この場に自民党議員がいないのは非常に残念だが、一緒に支え合い次の世代をつくりたい」と待機児童解消に向けてあらためて決意を語った。