藤森平司園長(右)の案内で子どもたちの食事の様子を見守る

 子どもを保育所に預けられなかった女性が、匿名で不満を書き込んだブログや、それを取り上げた山尾志桜里衆院議員の国会質問を契機に、待機児童の対策強化や保育士の待遇改善を求める声が高まる中、その問題に取り組む民主党の蓮舫代表代行、山井和則、山尾志桜里両衆院議員と藤本祐司参院議員が14日、東京都新宿区の「新宿せいが保育園」を訪問。子どもたちの発達段階を捉え、一人ひとりを理解して適切な援助をする「見守る保育」を提唱し実践している藤森平司園長の案内で園内を視察し、保育士らと意見を交わしたり、子どもたちと触れ合った(写真上 藤森平司園長=右=の案内で子どもたちの食事の様子を見守る)。

 0歳児から6歳まで約170人の園児がいるこの保育園は、0から1歳未満のクラス、発達のスピードの個人差が大きい2歳児の独立したクラス、さらに興味・関心、習熟度などに応じた選択の機会を多く用意した3・4・5歳児のクラスの3フロアに分かれ、それぞれをチーム保育で担当している。

 ドイツ・バイエルン州の乳幼児教育の思想と手法を学んだ藤森園長の「建物は器ではなく”教師”だ」との考えから、この園では各フロアの内装や色彩計画、机や椅子や家具にも、子どもの心理や安全のための細かな配慮がなされている。

 園内に入って最初に気づくのは男性の保育士の多さだ。ここで働く保育士の4割が男性で、一般の保育園に比べて比率はかなり高い。男女ともに育児休業が認められ、自分の家族を大切にしながら働くことのできる環境が守られている。

「いただきます!」

「いただきます!」

 訪問はちょうどお昼時。一行は、0〜1歳の子どもたちが保育士たちに見守られながら、自分の席に自ら座って、自分で給食を食べ、後片づけもしている様子に驚嘆。また上の年齢の子どもたちはお互いに盛り付けや配膳を協力しあって、給食のテーブルセッティングをしている。強制ではなく、子どもたちの自主性を育み、尊重する考えが、子どもたち一人ひとりに伝わっていることが、短い滞在時間の中からも感じられた。

 意見交換の中で、今問題になっている保育士の待遇改善について、藤森園長は「保育所という施設が、働く女性のためというよりも、子どものためにどんな施設なのかという考え方の転換が必要。保育士の仕事が変われば、処遇も当然見直されるし、国民的な合意も得られる」「もともと、女性も働いて育児は共同でやるように人類はできているはず。そこをきちんと押さえていないから、待機児童の解消はいたちごっこになっている。子育ては人類にとってどういう意味があるか、全体の捉え直しをしないと、待機児童は解消しない。そこで育った子どもたちが大人になってどうなるかがまず一番問題だ」と問題提起。また「処遇は、お金だけの処遇ではない。働くことへの志がどれだけ持てる職場かどうか。それがどこまで全うできるかだ」と考えを語った。

 視察を終えた蓮舫代表代行は、同行した記者団に「保育士の皆さんが高いモチベーションとプロ意識をもって子どもを預かっているし、自主性を重んじられることに子どもたちもしっかりと応えている。給与や、処遇の改善だけではなくて、質がいかに大事かということを今日は学ばせてもらった」と感想を語り、岡田代表をトップとする対策チームを党内に設置し、保育士の待遇改善の法案など、待機児童の解消や保育の充実につなげるための具体策を早急に取りまとめる考えを示した(15日に発足予定)。

 同チームの事務局長に内定している山尾議員は、政府・与党でも視察や提言をまとめる動きが出てきたことについて、「本気かどうかは、保育の質にも対応しようという3千億円の財源をちゃんと確約できるか、どこから確保するのか、そこをしっかりと見なければいけない。必ずやり遂げるという言葉は一度もきいていない」と語り、それらに先んじて党として提言づくりに取り組んでいきたいと述べた。