「次の内閣」男女共同参画担当大臣 衆院議員 阿部知子(あべ・ともこ)

「次の内閣」男女共同参画担当大臣 衆院議員 阿部知子(あべ・ともこ)

 政府の女性活躍推進法案は、例えば「会社で役職に就いた女性がどのぐらいの割合になったか」というようなことを安倍政権が誇示したいがための法案でした。しかし、多くの女性が非正規雇用で「物扱い」されている現状など、職場には男女の格差だけではなく、女性間の格差もあることが分かります。そのことを含めて、この法律を良くするためにはどうしたらいいかを考えました。


家事労働こそ命をつなぐ原点
 実はこの修正案を考えたときに、私がこだわったのは家事労働です。和光大学教授の竹信三恵子さんに「家事労働ハラスメント」という著書がありますが、社会が家事を価値の低い仕事と見なして女性に丸投げしているから、女性の働き方が低賃金で細切れにならざるを得ない。
 けれども人間は、ご飯を作って食べ、お風呂に入り、寝て、というように、毎日労働力を再生産していくための家事労働がなければ生きられません。命を明日につなぐというのは、お金には換えられないものです。
 今、参院では外国人労働者の家事支援人材の受け入れを認める国家戦略特区法改正案が審議されていますが、もし、家事労働を全部外注化して、自分自身に残るのが「売れる労働力」だけになってしまったら、それは人間の生活としての意味がないと思います。
 だからこの法律で、性的に固定された役割分業ゆえに女性が低賃金構造に置かれているということを指摘して、これを変える、そういう女性活躍推進法でなければならないと考えました。家事労働の価値をきちんと認め、男女が家事労働の分担を半々にすれば、女性の外での仕事が低賃金に置かれることもなく、男性も過労死するまで働き続けることもないでしょう。女性も男性も、食べて・寝て・働くという人間として当たり前の生活を取り戻すこと。家事労働は、自分の命を明日へと再生産していく原点だと思うのです。


民主党らしさを形にする
 さらに今国会では労働者派遣法の改悪阻止が大きなテーマでしたので、格差の問題についても何とか滑り込ませられないかと思い、私から提示した案では「女性労働者の待遇や雇用の格差が存在する等の現状」「正規労働者への転換」という文言もあったのですが、さすがにそこまでは与党側が応じず、「格差の実情を踏まえ」という形で決着しました。
 こうした修正は私だけではなく、昨年の段階で前任者の辻元清美議員や男女共同参画本部事務総長の郡和子議員の尽力で修正を実現する直前まで至っていたという実績があります。与党側との実際の交渉は衆院内閣委員会の理事が担当しますから、前回は近藤洋介議員が、今回は泉健太議員が頑張ってくれました。つまりこの修正は、昨年からのバトンを引き継ぎ、女性議員と男性議員のチームワークで勝ち取った成果だといえます。
 それから、女性議員が増えたことも力になりました。これからも次の世代を担う女性議員たちと協力して「こういうふうに生きたいね」という、民主党らしいメッセージのある政策を実現していきたいと思います。

 

女性活躍推進法案とは

 安倍内閣が昨秋の臨時国会に提出しながら廃案となり、今国会に再提出された法案で、企業や自治体に、女性の採用比率や管理職比率、労働時間、勤続年数などの状況の把握と、それを踏まえた「行動計画」(目標設定や取り組み内容など)の策定・公表を義務付けることなどが主な内容。
 原案には、非正規雇用の問題や育児・介護の負担といった女性を取り巻く厳しい現状への視点がなく、民主党の主導によって本質的な法案修正を実現した。その内容は、「男女間の格差」「性別による固定的な役割分担」など、女性の働き方を制約している要因を書き込んだ上で、それらの改善を要請したもので、与党の合意を得て6月4日、衆院で可決。

(プレス民主7月3日号より)