山尾議員

 衆院本会議で22日、政府提出の「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律案」が審議入りした。同法案は、女性の活躍推進に向けた国、地方自治体、企業の責務を定めるもの。国や地方公共団体、民間事業主は女性の活躍に関する状況の把握、改善すべき事情について分析し、定量的目標や取り組み等を記載した「事業主行動計画」の策定・公表等が義務付けられる(労働者が300人以下の民間事業主については努力義務)。

 民主党から質問に立った山尾志桜里議員は、(1)男女間の賃金格差の是正に対する認識(2)非正規雇用労働者の女性への対応(3)本法案の目的(4)「家族を構成する男女」という文言(5)選択的夫婦別姓制度(6)女性の政治参画への取り組み――等について取り上げ、有村担当大臣らの見解をただした。

 山尾議員はまず、同法案の最大の問題は、「賃金格差」「非正規雇用」「仕事と子育てとの両立の困難」という女性活躍を阻む高いハードルを後回しにしていることだと指摘。「賃金格差が是正されないまま女性活躍が進めば、低賃金で大活躍を強いられるという構図が出来上がってしまう。政府は、男女間の賃金格差等を是正して、女性の権利に関する公正な環境を整えることで、はじめて女性が活躍できるのだという基本認識を持っているのか」と迫った。

 非正規雇用については、非正規労働者の約7割が女性であるなか、労働者派遣法の改悪により派遣期間制限がなくなれば、ただでさえ不安定な女性の雇用がさらに揺らぐこと、現在でも派遣で働く女性の多くは産休や育休を取ることが困難な状況に置かれていることに触れ、「女性が子育てと仕事を両立させることはますます難しくなる」と批判。有村大臣は、「非正規労働者への対応は本法案の目的達成のためにも重要なテーマ」としながらも、「成立した暁には本法案に基づく基本方針や事業主行動計画策定指針で必要な取り組みを盛り込んでいきたい」と空疎な答弁にとどまった。

山尾議員2

 「この法案は、急速な少子高齢化の進展、国民の需要の多様化等に対応していくため」という同法案の冒頭部分に対しては、「女性活躍の第一の目的は、少子高齢化対策なのか。それが政府のスタンスなのか」と問いかけ、「女性は、少子化対策のために子どもを産むわけではない。労働人口減少対策のために働くわけではない。一人ひとりの女性が、その個性や能力を発揮でき、生き方の希望がかなう道を広げることこそが、立法目的であるべきだと主張。この冒頭部分ではあまりにも間違ったメッセージを送ることになると述べ、男女共同参画社会基本法の理念を参考に修正すべきではないかと提起した。

 女性が職場で活躍するために、見て見ぬふりをされ続けているもう一つのハードルは「選択的夫婦別姓の問題」だとも指摘。民主党は、かねてより「選択的夫婦別姓」の議員立法を提出し、今国会でも提出の準備を進めているとして、「裁判所に言われてから動くのではなく、政治家の責任として選択的夫婦別姓を認める法改正に動くとき」だと有村大臣と上川法務大臣の見解をただした。

 これに対し、有村大臣は「国民に広く関わりのある課題であり、国民意識の動向等を見ていくべきものと考える」、上川法務大臣は「国民の間にさまざまな意見があり、これを踏まえ検討する必要がある。関連する訴訟が最高裁に係属しており、どういう判断をするかを注視しているところ」とそれぞれ答弁。政府の消極的な姿勢があらためて浮き彫りになった。

 政治分野での女性参画状況については、「今年3月に有村大臣が各政党に対し、政治分野でのポジティブアクション導入などの取り組みの検討を要請したが、民主党はすでに実効性あるポジティブアクションとしてクオータ制の導入の検討に入っている。自民党の取り組みは前進しているのか」などと質問。有村大臣は、「各政党での取り組みがさらに進むよう強く期待するとともに、引き続き働きかけを行っていきたい」と答えるのみで自党の取り組みについては言及を避けた。

 山尾議員は最後に、「私たち民主党は努力を惜しまない。本法案の審議にあたり、経済的困難のなかで必死に生計を立てている女性、子どもたちのために頑張るシングルマザー、介護や育児を一手に受けて家族のために働いている女性たちなど、すべての女性の活躍を推進するための実効性のある法律となるよう、積極的で具体的な修正を提案し、男女共同参画をリードする民主党の役割をしっかり果たしていくことを誓う」と表明し、質問を締めくくった。