党女性委員会、緒方貞子元国連難民高等弁務官を迎え特別講演会

 党女性委員会(委員長・郡和子衆院議員)は26日、緒方貞子元国連難民高等弁務官・前国際協力機構JICA理事長(現特別顧問)を迎え、国会内で特別企画「ジェンダーギャップ指数105位からの脱却」と題して特別講演会を主催した。「世界経済フォーラム」が10月25日に、各国の社会進出における男女格差を示す指標である「ジェンダーギャップ指数」を発表。日本は136カ国中105位と、昨年の101位から後退し、特に「政治への関与」について低く、全体の順位を低く押し下げている原因となっている。党女性委員会では今回のこの結果も踏まえ、改めて女性の社会進出について考える機会としたいとして、衆参両院の国会議員をはじめ、全国の党所属議員に参加を呼びかけて特別講演会を開いた。

海江田万里代表

海江田万里代表

 海江田万里代表は、大西健介・同委員会副委員長の司会のもとであいさつに立ち、緒方氏について第8代の国連難民高等弁務官であると紹介。緒方氏は1990年に第8代国連難民高等弁務官に就任後2000年までを務める。01年からアフガニスタン復興支援総理特別代表、03年に人間の安全保障諮問委員会委員長に就任、同年から国際協力機構・JICA理事長に就任、12年からは同特別顧問。海江田代表は「アフガニスタン支援の国際会議において共同議長としてアフガニスタンの人々を国際社会が支援することに向けて見事なさばきをされたことは印象深く覚えている」と振り返った。「そうしたご自身の経験に基づく男女共同参画のあり方についてお話いただくとともに、民主党はこれから2015年の統一自治体選挙に向けて女性議員を増やしていかなければいけないし、衆院、参院も女性議員の数を増やしていかなければいけないと考えているので、意見交換をするなかで民主党の共同参画の政策に役立てていただきたい」と述べ、積極的な意見交換を求めた。

郡和子女性委員長

郡和子女性委員長

 続いてマイクを握った郡・同委員会委員長は、「日本では女性の方が平均寿命が長いので350万人も女性の方が人口が多い」と指摘するとともに、「そうした状況のなか日本社会の中で女性がしっかりとした意思決定の場についているかというと心もとない状況」「ジェンダーギャップ指数で日本は136カ国中105位で政治・経済・教育分野で未だ女性の活躍が達成されていない状況」だと指摘した。そのうえで「民主党は真の女性の活躍の場をつくっていくことに努めていきたい。人間の安全保障という視点でも私たち女性のトップとして活躍した緒方さんの体験を踏まえて、世界の女性たちがどういう状況におかれているか、日本の女性たちに、日本の社会に何が求められているかについてお話いただく」と紹介した。

緒方貞子氏

緒方貞子氏

 緒方氏はダボス会議でも指摘したがジェンダーギャップ指数については産業経済界を中心とした情報収集に拠る指数であるので教育界、医療界等を含めた広範なもの、バランスが取れた形で情報収集すべきとしたうえで、「情報の集め方の見直しが必要だが少ないのは事実」だとして、「国会議員、上級管理職、マネージャーとなると一段と女性の比率が低い」と指摘。日本における女性国会議員比率は7.9%(衆院)で、そうなると163位である(世界の下院比較で)との懸念を表明し、「教育界、医療界、法曹界と広い範囲でいろんな形で女性の仕事が広い範囲で行われていくことが社会のために大事だ。全体的にバランスがとれた形でどうやって広めていくか。それが広がって初めてバランスのとれたいい日本というものができてくる」と問題提起した。

 また少子高齢化の日本にあって、「人口の減少が始まっているなか、子どもを産み育てやすい社会にどうやって作り直せるかというのが共有の大きな問題だ。社会で半数は女性なのだから女性の方たちの活躍がどうやって芽を吹き、そして日本全体にいい影響を与えていくか」について考えていかなければならないと指摘した。

 あわせて、社会進出と同時に出産・育児との両立をどう遂げたらいいかということも多くの人にとって大きな問題だとの認識も示し、「多少良くなったのは例えば幼稚園と保育所を一緒の行政のもとにおいたことでずいぶん数字が上がった。そういう工夫ができるところはどんどん工夫してほしい」との求めがあり、民主党政権下で進めてきた幼保一元化の取り組みによって子育て環境の改善が進んだことに大きな評価をもらった。

 国際基督教大学講師を務めていた1968年に市川房枝参院議員の突然の訪問を受け、「国際連合総会日本代表団に」と要請されたのを契機に国際連合の仕事に関わるようになったと紹介するとともに、就学前の子どもを置いていくことに躊躇(ちゅうちょ)する緒方氏に「子どものことは後でみんなで考える。まずお受けしなさい」とお父さんが後押ししてくれたことが契機となったと語り、子育てと仕事の両立が女性の社会進出に不可欠だとのする認識を示した。

 緒方氏はまた、国連難民弁務官としての10年間の取り組みも振り返り、「難民に対応するうえで大きな役割を果たしたのは日本だった」「人々を考えて社会開発を考えることが重要」「お金だけの問題ではなく社会的な連盟・協同を考えることが必要」との認識を示し、人間の安全保障の概念の重要性を指摘。さらに、インターネット等の発達により情報が国境を越えて瞬時につながるなかにあって、国境を越えた各国間で共通性をもったプログラムを用意することが国際問題を解決するうえで重要だとするとともに「そのときに社会で定着している女性が果たす役割は大きい」として、「新しい平和の作り方、国際協力のあり方がだんだん広がってきている。貧困による区別・差別をなくして対立を少なくしていくという日本の考え方に基づく国際協力のあり方が段々に広げられる時代になっている」と語った。そのうえで緒方氏は「国会の中でいろんな討議をする中で日本がどういう形で国際的に役立っているかということを頭に入れて考えていただきたい」との求めがあった。

古川元久議員

古川元久議員

 講演のまとめで古川元久議員は、民主党政権下で国家戦略会議がまとめた「日本再生戦略」において経済的な指標の伸びを求める意見が相次ぐなか、「成長も大事だがインクルーシブな成長でなければならない。だれかを取り残すような成長であってはならない」と一貫して主張したのが緒方氏であったと振り返り、その指摘に基づき民主党政権ではすべての人のために居場所と出番がある普遍的な日本再生戦略をまとめたと報告。「アベノミクスで格差が拡大し、どんどん置いて行かれる人がいるのではないかと危惧しているが、こういうときだからこそもう一度、インクルーシブな成長を日本において実現し、世界においても発信していくことが日本が目指すべき方向と思っている」として、党としての取り組み強化の重要性を指摘し、思いを共有してそれぞれの地域で進んでいこうと参加者に呼びかけた。